【原点に戻る雑誌】『GINZA 2013年10月号 男と女』

【原点に戻る雑誌】『GINZA 2013年10月号 男と女』

「先週の今日はまだ元旦だったのか…。」と思い返してため息が出る休み明け1週目です。
今年の年始はいつもより長く実家で過ごし、子供の頃よく出向いた神社に初詣に行ったり、久しく会っていなかった親戚に顔を見せに行ったりして過ごしました。そのせいか自分の原点や原風景を思い返すことが多く、まだまだ休みぼけが抜けません。

GINZA 2013年10月号の重み

20代前半よりモノを捨てることが上手になってきましたが、いまだに捨てられない雑誌がいくつかあります。何年経っても自分の感性に響く雑誌で、私にとっては一冊のハードカバーのようなもの。
その証拠にこの『GINZA 2013年10月号』は、ハリーポッター並みの重みがあります。ファッション誌の文字数が減りヴィジュアル中心の写真集と化してからだいぶ経ちますが(2013年時点でも多くの雑誌はペラペラだったはず)、その中でこのボリュームはなかなかすごいと改めて驚愕。

この頃のGINZAの情報量は本当にすごい。
隅から隅まで、ライターやエディターが編み込んだ文章がぎっしり詰まっていまて、お洋服以外にも、芸能人、文化人のコラムやインタビュー、ストリートスナップから取材記事まで多種多様です。
「コート (右上) ¥ 56,000 ◯◯◯インターナショナル」みたいなクレジット以外に、こんなに文字が並んでいるファッション誌は今ではそうそう見かけません。

教養とファッションを楽しむ

『GINZA 2013年10月号』は、「男と女 ときどき真ん中」をテーマに、マニッシュにもフェミニンにもページが変わる面白い特集です。

(なんとシティボーイのバイブル『POPEYE』とのコラボページもあります。同じ出版社ですし、ターゲット層も似ていますしね。)

しかし、イントロダクションを見返してまたもや驚き。

「1970年代に、リチャード・アヴェドンが撮ったJun&RopeのCMは
CLASSICAL ELEGANCEをテーマに、ハットをかぶった髭の紳士が
鏡の前で胸をはだけ、メイクをして完璧な女性になっていく様を
官能的に描いた名作でした。・・・」(p.70)

はて、読者のうちどれだけの人が、「リチャード・アヴェドン」の存在を知っているのだろうか…。ちなみに2013年当時、私はそんな伝説的フォトグラファーの存在など知りませんでした。このドキュメンタリーを見て最近知ったばかりです。

GINZAの文章は詩的であったり、知的好奇心を刺激する書き方をしてみたり、読み手の読解力を信頼して誌面を作ってくれているような気がします。

そのスノッブさが鼻につくと感じる人ももちろんいるでしょう。でも、POPEYE同様、その気取った感じこそが「シティガール/シティボーイ」の心意気であり、服だけじゃなくいろんな情報や知識を得ようとする彼らの(そして私の)性貪欲さなのです。

GINZAを作っていた人

この頃の編集長は中島敏子さん。2011年5月号から2018年5月号まで7年間、手腕を振るいました。

WWDに記事が掲載されています。
暴れん坊編集長・中島敏子による「ギンザ」ラストイシューを語る
また、web版のGINZAの対談では、印象的な撮影風景や各号のテーマについても触れています。
GINZA編集長 写真&モードを語るスペシャルな夜 前編
GINZA編集長 写真&モードを語るスペシャルな夜 後編

中島さんが手がけた最後のテーマは「WHAT IS IN INTELLIGENCE 『知的な服』ってなんだろう」。
知性は品性を作り、品性はセンスを磨くものだと思います(とドヤっている自分も耳が痛い)。

知性空っぽのファッションには、全く魅力を感じない。

お洋服の知識を語りたいけど出しゃばるのは粋じゃないと口をムズムズさせているPOPEYEボーイも、好きな映画の人物になりきったコーディネートを密かに楽しむGINZAガールも、彼らのお洒落の源は知的好奇心なのかもしれません。

古本で安く買えるみたいです