【旅行記】生と死のウィーン:生きているもの

【旅行記】生と死のウィーン:生きているもの

二日目のウィーンは曇り空だった。午前中は応用美術館分離派会館(セセッシオン)に行こうかと思っていたけど、まだ疲れも取れなかったので分離派会館だけに行くことにした。ホテルから比較的近く、同エリアにはマーケットや有名なカフェもあったので、まとめて色々見れると思ったのだ。
旅先だろうが仕事だろうが、「Stay relax」が我が人生のモットーである。

分離派会館(セセッシオン)

先に言うと、クリムトや分離派アートに熱をあげた人以外にはオススメできないかもしれない。
セセッシオンの目玉はクリムトの壁画。その他の展示はかなり少ない。多くの展示品を期待する人には呆気なさすぎるかもしれない。

それでも、クリムトの壁画「ベートーヴェン・フリーズ」は〈読み応えがある作品〉であることには間違いない。絵の中に沢山の情報とストーリーが詰まっている。

見えにくくてスンマソン

髪の毛に蛇が絡まっている女性や、愚鈍な顔をした毛むくじゃらの怪物、不気味に笑う骸骨みたいな女、抱擁する男女、飛んでいるような白い女性たち…。

背景知識がない私にとっては「???」ばかりの絵である。

しかし、この絵に強く惹かれることによって、絵を読み解こうと学習意欲が湧く。魅力を感じる絵や美術作品は、新しい学びへの足掛かりになる。

画家自身はすでに亡くなっているけれども、残された絵からは彼の信条が伝わってくる。背景知識はなくとも、独特の絵のスタイルやスキャンダラスな女性の裸体、少々グロテスクなキャラクターから、グスタフ・クリムトがどんな人物であったかがなんとなく感じ取れる。

画家は死んでも絵は生きている。ずっと何かを訴えかけている。気味は悪いが神秘的である。

ベルヴェデーレ 上宮

絵が生きている、とひしひし感じたのがベルヴェデーレ宮殿上宮のギャラリーだ。ベルヴェデーレ宮殿とも呼ばれ、今は美術館としてクリムトやエゴン・シーレ、オスカー・ココシュカなど、オーストリアの現代美術を代表する画家の作品が収められている。

ベルヴェデーレには上宮と下宮があり、大規模なギャラリーとなっているのが上宮。時代やテーマごとに部屋が区切られている。

目に生気が宿っているような絵をちらほらと見かける。目が合うとちょっとゾクッとするが、魅入ってしまう。

そんな見んといて…

そしてほら、この一画。写真じゃわかりづらいかもしれないけど、こちらに向けられた視線が痛い。

ベルヴェデーレ 下宮

ベルヴェデーレの下宮は、上宮から大きな庭園を挟んだ反対側にある。
多くの人が上宮の豊富な展示品で満足してしまうのか、はたまた広い庭園を歩くのに疲れてしまうのか、下宮には驚くほど人がいなかった。

しかし今回の旅で見つけた私のお気に入りは、ここベルヴェデーレ下宮。

庭園から見える下宮。そして夏の空。

下宮の展示は現代アートや旬の企画展がメインのようである。
他にも美しい宮殿内部を見て回れるのだが、人が少ない分ゆっくり、静かに鑑賞できた。
豪華な装飾のとある部屋が、ウィーン中で最も気に入った場所である。

秘密にしておきたいのでこれ以上具体的なことは言わない。

Kiki Smithの展示

私がベルヴェデーレを訪れた時にちょうど開催していたのが、Kiki Smithというアーティストの展示。彼女のことは全く知らなかったが、どうせだし、と思って展示ブースへ足を踏み入れた。

気軽な気持ちで入ったもんで、グロテスクな生をかたどった作品たちにいきなり面食らってしまった。

壁にくくりつけられた、頭髪が妙にリアルな女性の体(おそらくアーティスト自身の体を粘土か何かで形取ったもの)。
十二指腸か大腸か、ブロンズっぽい色の臓器(のようなもの)。
床一面に散乱する、撃ち落とされたカラスのような彫刻。

Kiki Smithの作品はいい意味で衝撃的だったし、私の感性に訴えかけるものだった。

静物なのに〈生〉を感じる美術作品に出会えたのがウィーン二日目。
もっと見たい美術館が沢山あったんだけど、それぞれじっくり見るとなったら一週間以上は時間が欲しいところ。

お金を貯めて次回は中期滞在を目指す。