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【映画】『百万円と苦虫女』:静かに前を向く青春映画

映画の中の素敵なファッションを探すのが好きな仁綺(にき)です。
今回は2008年公開、蒼井優ちゃん主演の『百万円と苦虫女』を紹介します。
早く自立したくてうずうずしている若者、日常のなかでキラリとセンスが光る服、そして蒼井優ちゃんファンの方にぜひ観てもらいたい映画です。

『百万円と苦虫女』のあらすじ

主人公の鈴子(蒼井優)は短大を卒業した後、フリーターをしながら家族と一緒に暮らす女の子。
ある日、バイト先の友達リコから提案されルームシェアをすることになった鈴子は、実家を出て自立できることに心躍らせます。

しかしこの新しい生活が始まった直後、鈴子はリコの彼氏であるタケシから刑事告訴され、前科持ちになってしまうのです。
実家に戻っても結局居づらくなり、鈴子は百万円を貯めて家を出る決意をします。

「もう誰にも迷惑かけません。」家族の前でそう言い放った鈴子。
そうして彼女は新しい町で生活を始め、もう一度百万円が貯まったらまた新しい場所を引っ越す、という生活を始めます。

見どころ:若い反骨精神がどのように変化していくのか

10代後半から20代前半の頃、「私は一人でも大丈夫。一人で立って生きていける。」という思いが強くあったりしませんでしたか?
早く親元から独立したい気持ち、家族や学校の管理下から抜け出して自分の力を試したい気持ち、そうした若い反骨精神は多くの人が抱くものだと思います。
鈴子を見ていると、大人しい性格である以上に、そうした独立心からあえて他人と距離を置いているようにも見えます。

私が『百万円と苦虫女』を観たのは18歳か19歳くらいの頃で、こうした鈴子の姿勢に強く惹かれました。
まだ上京する前で、家族と暮らしていた頃です。この映画の影響で、大学一年生の夏休みは実家には帰らずリゾートバイトで長野の民宿に住み込みで働きました。青臭い思い出です。

人を頼りたくない、自分の力で立っていきたい。こういう思いは、独立したオトナになる上で、とても大事だと思います。
しかし人生を一人だけで歩いていくことは、果たしてどういうことなんでしょうか。
鈴子はそれぞれの場所での出来事を通して、他人との関係性を見つめていきます。
「一人で生きていくこと」と「他人との繋がり」をどのように捉えていくか、鈴子と共に考えてみてはいかがでしょうか。

見どころ:儚げなのに凛とした存在感がある蒼井優ちゃんの佇まい

『百万円と苦虫女』は画(え)がとても美しい映画です。
特に夏の日常風景に溶け込む蒼井優ちゃんがとても魅力的で、私たちは画面に釘付けです。

蒼井優ちゃん演じる鈴子は、家を出たのち海の近く、山際の町、地方都市で暮らします。
どの場所も日本全国どこでも見かけるような景色ですが、その中に溶け込みつつも画面の「華」となる蒼井優ちゃんの佇まいに目を奪われます。それは艶(あで)やかな華というよりは、張り詰めた繊細さを持つちょっと危うい魅力です。

小花柄の柔らかなブラウスから伸びるか細い腕や、ゆるいウェーブのかかった髪に包まれた真っ白な肌。
ボーイッシュなバギーデニムをベルトで絞り、大きめのTシャツを合わせたスタイルは、その下に隠れる華奢な身体を逆に強調しているように見えます。

鈴子の服装や持ち物、そして仕草や行動があまりにも蒼井優ちゃんにハマりすぎていて、放映中ずっと釘付けなのです。

もちろん鈴子の存在は、力強い共演者の演技にも支えられています。
森山未来くんやピエール瀧さん、その辺の親父を演じさせたらピカイチの笹野高史さんなど、実力派の俳優さんがたくさん登場しています。彼らの味わい深いキャラクターにも注目してみてください。

まとめ

『百万円と苦虫女』は20代前半くらいにまでに見ると、共感しやすい映画だと思います。
しかしその年を超えても、もがいていたあの頃を思い出させるエモな映画でもあります。
穏やかなストーリーの中で変化していく主人公の気持ち、そして柔らかく美しい画面をぜひ楽しんでください。

最後にひとこと、蒼井優ちゃんファンは必見です。

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