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【映画】あの頃のマーク・ジェイコブス

先日表参道を歩いていたら、マークバイ マークジェイコブス(Marc by Marc Jacobs)の店舗がなくなっていることに気がつきました。2015年にマークジェイコブス(Marc Jacobs)に統合され、店舗が減っているようです。

概要:『マーク・ジェイコブス&ルイ・ヴィトン モード界の革命児(原題: MARC JACOBS & LOUIS VUITTON)』(2007年公開)監督・Loïc Prigent、Facets Multimedia制作。1997年よりルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)のデザイナーを務めていたマーク・ジェイコブスのドキュメンタリー。パリにあるルイ・ヴィトン アトリエ内の制作現場の様子や、ショー直前でパニック状態のバックステージ、世界を飛び回るマークの姿を映し出す。

おそらく90年代に撮られた写真。ケイトモスもマークもフレッシュで美しい。
→https://www.instagram.com/p/BeA91x8nkTN/

私にとって、マーク・ジェイコブスは特別なデザイナーです。
高校時代、多くの少女がそうであるように私もファッション業界に強く憧れ、『マーク・ジェイコブス&ルイ・ヴィトン モード界の革命児』を見ました。ブランドロゴの先にある歴史やデザイナーたちにも興味を持ち始め、雑誌やらテレビや雑誌やらで調べるようになった時期です。『プラダを着た悪魔』が大ヒットしたこともあってか、2000年代後半はファッション業界に焦点を当てた映像作品がたくさんリリースされたように思います。

イヴ・サンローランのドキュメンタリーや、ココ・シャネルの伝記的映画も見ましたが、当時最もお気に入りだったのがこの作品。目が回るほど忙しいマークの生活風景を見ているのが何よりも好きでした。「いつか私も彼のように目まぐるしく働く大人になるはずだ」、その未来への想像を掻き立ててくれます。

目まぐるしく働くかっこいい大人たちへの憧れ

安野モヨコの『働きマン』も擦り切れるほど読みました。

20代前半まで私の将来の夢は「キャリアウーマン」で、使い込んだ革のカバンを脇に抱え、猫足のヒールを軽快に鳴らしながらタクシーへ滑り込み、颯爽と打ち合わせへと向かうような女性になるものと思い込んでいました。

28歳になった今、そんな女性になっているかと言ったら、半分イエスで半分ノーです。
私は小さな商社で営業職についていて、出張や外出は多いし、海外とのやりとりは必須だし、「キャリアウーマン」っぽいことをしています。しかし、現実はもっともっと泥臭い。
革のカバンはそれ自体が重すぎて、パソコンや資料、カタログ入れて歩き回るには適しません。出張は多いですがタクシーなんか頻繁に使えないので、駅や空港を走り回れる猫足のヒールよりもかかとがしっかりした靴は必須です。

メディア上で切り取られた「格好いい女性」が、疲労困憊の擦り切れた働いていることを想像することは、高校時代の私には難しいことでした。

働くって泥臭い

「社会人」として少しずつ身体が馴れてきた今この作品を見ると、普通なら決して対外に見せない泥臭さに心が反応します。夢を具現化したような美しい姿のモデルがランウェイを歩くために、どれだけの人が目の下にクマをこさえて作業台へ向かい、縺れる(もつれる)アイディアの中で途方に暮れたことか。
古布で作られた花のコサージュや、ギラギラしたジュエリーが埋め込まれたシューズの間をくたびれた顔で走り回るルイ・ヴィトンのアトリエスタッフは、退廃的な美の中の社畜です。

この作品の公開当時、マークは44歳。自身のブランド、マーク・ジェイコブズを立ち上げたのが1986年で23歳、そしてルイ・ヴィトンのデザイナーに就任したのが1997年、34歳の頃。

マーク・ジェイコブスのセカンドラインだったマークバイが2015年に統合され、表参道の店舗もクローズしました。息つく暇もなく働いていた頃から比べると、今年55歳になった彼は少しずつビジネスの規模を制限しているようにも思います。

誓いの時計

→https://www.instagram.com/p/Bg_R9gRh9xz/

「醜さも極めるとクールだ」
このマークの信条は、一般的な可愛さや美しさをつまらなく感じていた高校時代の私に突き刺さりました。
作品中に登場するプラスチックの宝石が葡萄の房のように付いたサンダルや、安いランジェリーのような紫色の服、後ろからブラジャーが丸見えのドレスは、ダサくて安っぽいものをとことん強調したマークのスタイルです。

私は昔からひねくれていたので、単純明快な美しさやかっこよさよりも、どこかに禍々しさを感じるクセのあるものが好きでした。マーク・ジェイコブスと言う著名なデザイナーが自分と同じ感覚を持っているようで、誇らしく感じたことを覚えています。

こんな風に私も、マークを信仰する世界中の10〜20代の子達の一人でした。

大学進学のために上京する時、一年間通った予備校のある街でマークバイの時計を買いました。親の庇護を離れ、「オトナ」への一歩を踏み出すことに胸を躍らせながら、これまで自分が辿った道筋も大切にしていこうと買った時計です。この時計は大学院を卒業するまで使い、今も捨てずにしまってあります。

MARC JACOBS: https://www.marcjacobs.jp/
instagram: https://www.instagram.com/marcjacobs/

『マーク・ジェイコブス&ルイ・ヴィトン モード界の革命児(原題: MARC JACOBS & LOUIS VUITTON)』はAmazonPrimeで視聴できます⏬⏬

 

 

 

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